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    倖せ者の不倖

    • 2016.10.01 Saturday
    • 01:00
    夜風はもう心地よいを通り越して鳥肌を誘うけれど
    解放された安堵感で、満ちていて
    遠い家までの道程も、歩いてみようという気になった。



    居心地の好い人と共に過ごして
    数時間前までの恐怖感も、すっかり落ち着いた

    1人になったら、またぼんやりと思い起こすけれど
    大丈夫、まだ大丈夫だから。


    温もりのある場所が必ずしも好ましいとは言えないよね。成長が止まっている感覚、これ以上にはなれないという漠然とした未来予想。それはとても哀しいことだから



    だからこそ選んだ。自分にとって困難な道を。ただ、それが想像以上に酷な世界だっただけ。


    こんなもんで諦めないよ。
    まだまだ絶望ではないよ。

    そう、言い聞かせて歩みを速める。


    後悔なんてしないよ
    してはいけないことだから
    弱音は自分の耳にだけ届けばいいの。


    聞いて欲しくなる夜もあるけど
    自分の不出来からくる不安など、恐怖など、絶望など。話したところで何の実も生まれないから。


    抱えていればいいんだそんなものは。
    あたしの鬱憤も虚無も悲哀も、あたしが原因なんだから。



    薬は効かないし、効かせるつもりも無いんだよ。罪深い存在なんだから、これ位抱えないと示しがつかないでしょう?


    どんなにあたしが望んだところで
    心臓は止まらないし、事故にも事件にも巻き込まれない。平穏無事に過ぎる世界、ああ、いたぶられている。




    人を苦しめることがあたしの役割なの?



    戻りたい過去も無ければ
    望む未来も無くなってしまった。



    君にあげたかった。
    君に居て欲しかった。
    あたしはあたしの身体も時間も、うまく使いこなせそうにないから。



    夜風は身体を冷やすけれど、
    夜道は全くもって安全だ。
    家に帰ればさらなる安心と、温度がある。




    その事実だけで、押し潰される。

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